完成!素肌よろこぶシャツ&スカートができるまで<前編>

完成!素肌よろこぶシャツ&スカートができるまで<前編>

先日リリースした「シャツ」と「スカート」。その制作の裏側と紆余曲折のエピソードをお届けしたいと思います。

逗子や恵比寿のPOPUPではたくさんの方に着てみて頂き、とっても素敵にできたことを確信しほっとしています。(たくさん写真撮らせてくださりありがとうございました!)

シャツの袖は7分丈ですがまくってもいい感じに!「カンナ柄_愛情」シャツです。

 

セットアップもかわいかった!スターフルーツ柄のシャツ(木柄)ロングスカートの組み合わせ。スニーカーで合わせてもいいですよね!(身長163cm)


1. きっかけは生地との出会い

最初のきっかけは、染色や生地のことをいつも相談しているF本さんからのご提案があり「綿ローン」という生地を取り寄せた事でした。

この生地は薄手のコットン100%で、細い糸をやや粗めに織った平織り。薄くて軽やかなのに、ほどよいハリとコシがあるのが魅力です。透け感もありつつ、肌触りはなめらか。

「薄手なのにシャキッとしたハリ・コシがある。いい感じ〜!」

この生地でシャツやスカートを作ったら素敵だろうな〜、どの柄で何色だったらいいかな〜モヤモヤ・・・想像を巡らせました。

大人の女性に向けた服だから、柔らかくて軽くて肌触りがいい、だけじゃなく身体のラインをきれいに見せてくれる、身体とちょうどいい距離を保ってくれる“ハリ感”が大事だと思っています。

⬆︎どの柄でどの色にしよう・・・毎回とっても悩みます。


2. 形を決めるまで

作る形のざっくりしたイメージはすぐに浮かんだものの、具体的にするにはサイズや形を細かく決めないといけません。

「ここをこうしたらどうなるのかなあ」と想像&妄想しながら絵を書いていきました。

●スカートは軽やかに揺れるギャザーのあるシルエット。ギャザー が多すぎると子どもっぽいし、少なすぎるとふんわり感が出ない。どのぐらいがいい??

●シャツは動きやすさときちんと感のバランス!軽い羽織りのようにも着られるようにして、秋まで(なんなら一年中)大活躍な一枚にしたい。

●生地に透け感があるからスカートにはたぶん裏地がいるよな〜。

⬆︎ギャザーの具合あれこれ。実際は生地によって全然違うので作ってみないと分からない!


3. 一番の難関、縫製先探し

次のステップは縫製先探し。これがAMONGの服作りにとって一番の難関です。

これまで服をお願いしていた縫製先では都度細やかな相談に乗って頂いていました。ですが、職人さんの人数減少もあり、AMONGの複雑な依頼は難しい状況でした。

時は既に4月半ば。もちろんまだ生地は染めてない。しかも今回は「初夏には完成させたい」という希望もあります。

「お願いできる縫製先を見つけたい…!」

何十社にもアプローチしましたが、ほとんどお返事なし。
たまに返ってきても「数が少なすぎて対応は難しい」といった内容でした。

そうだよね〜ややこしいのに少ないよね〜。発注数のゼロが1個(いや2個)足りないよね〜〜!!

ご存知の通りかと思いますが、AMONGはオリジナル生地で柄の向きもあり、生地の半分でモチーフが変わっているので裁断も複雑。
量が少ない上に手間がかかるため、受けてもらいにくいのです。

⬆︎こんな資料を作って柄の向きを説明しました。しかも本番はこの色と違うよ。ホント分かりにくくてすみません!


4. 奇跡の出会い

そんな中、ある縫製会社から信じられないほど丁寧なお返事が(奇跡!)。
まずはZoomで顔合わせ、そしてLINEや電話でのやり取りを重ね、ついに縫製をお願いできることになりました。

実際に訪問した際、社長さまがこんな言葉をくださいました。

「数が多いとか少ないで作る・作らないは決めたくない。そんなことしているから、日本のモノづくりがつまらなくなるんです」

さらに、生地を一反(いったん)ずつ染めていることを伝えると

「よく一反でやってくれるところがありますねえ。それは信頼関係ですねえ。面白い生地ですね、私も楽しみです!」

⬆︎これが捺染(なっせん)風景。この大きな台は25メートルあり、ひと柄につき2つの台を合わせて約46メートル染めます。46メートルを一反と言います。

いや〜〜感激しました。かっこ良すぎてしびれました。
こういう作り手さんとの出会いは本当に宝物です。

ご担当者のKさまも、本当に親身になっておもしろキャラ(だいぶ!)に乗せて、惜しげもなく経験やアイディアを分けてくださいます。

わわ〜〜新しい扉が開いた!!としょーぴーと大喜びした瞬間でした。

そうそう、扉が開いた、といえば気づいた事があります。
縫製先が決まる前でも企画を進めること。縫製先が決まったら企画する、の順番じゃなく、先に動きながら進めることで、道が開けるに違いないです。

これから何かやってみたい事がある方の参考になるかも?と思って書いてみました。


5. 企画からサンプル制作まで

●スカートには透けないよう裏地を採用。それにしても裏地ってこんな種類あるのね。大量の見本帳にひええ〜となりました。

●ウエストのゴムは柔らかめと硬めどっちがいいかなあ。

●ウエストの紐の色、これでいいかなあ。本番の生地が染まる前だったので、目を細めて(!)色味を想像しながら決定しました。

●シャツのボタンはマットな質感の貝ボタンをチョイス!ぴかぴかの貝ボタンにケシ加工、という加工をしてもらうとマットになるんです。

⬆︎希望して取り寄せたマットな質感の裏地だけでサンプル帳が何冊もあります。

ある日のこと、会社訪問をしたらビッグサプライズ!まだ完成していない予定だったサンプルが完成していたんです!打ち合わせのつい1時間前に完成したほやっほやっと聞いて大感激!一瞬で汗がドバッと出ました。ドキドキ〜〜〜。

その後、ポップアップに来てくれた従兄弟のお嫁さんNさんに「ねえねえ!お願いが!」と声をかけ、Nさんとお友達にそのサンプルを試着してもらいました。

⬆︎色々必死すぎてまともな写真なし!なにしろ毎度みなさまに助けてもらっているおかげでございます。ありがとうございますっ!


6. 修正と本番へ

サンプルのシャツを試着してみると、腕まわりが動きにくい気がします。
どこをどうすると解消するんだろう、袖を1cm太くすればいいのかな??

⬆︎ここが気になる、と気になり箇所に矢印を書いてパタンナーさんと相談し、腕を動かしやすくなるよう調整してもらいました。

⬆︎ボタンホールも裏側もバッチリな美しい縫製に感激しました。

スカートでは、ウエストゴムの太さ(幅)を5ミリ細くしました。
(心の声:あ〜でも〜5ミリでいいかなあ〜1cmにしようかなあ〜。どうしよう〜!)

そうして本番の生地が染め上がったらあとは縫製だけ!のハズですが、あーやこーやは続きます。

縫製先のKさん「あの〜生地入って来たんですけど、幅が足りません」

な、なぬ?!どういう事?!

Kさん「生地幅110cmのはずなのですが、生地って引っ張り具合で微妙に歪むじゃないですか。捺染だと手作業だから歪みが出やすくて、生地目を直角に調整したら場所によって生地幅108〜109cmなんですよね。意味伝わります?」

分かる。分かります。(みなさま状況伝わります??)
生地幅いっぱいの型紙を作ってしまった。つまり入らないって事よね・・・

⬆︎こういう状況。二度見しました。

Kさん「まあ、そうなるかもな〜とは思ってはいたんですよね。捺染あるあるなんで」

ベテランの発言(涙)!

Kさん「今回は現場で調整しながらなんとかやりますんで。今後は生地幅の9割ぐらいでパターン作りましょう。」

きゃあ〜〜ベテランの発言(涙涙)!!
どんな時も笑って解決に導いてくれるKさん、KAMIさまと呼んでいいですか。

そんな紆余曲折を経て(コネタが多すぎて書ききれない)、ようやくシャツとスカートが完成しました。

やった〜〜!!できたよ〜〜!!


7. そして次回予告

こんな感じで完成したAMONGの新作シャツ&スカート。

とってもきれいな色とシルエットで着た瞬間「わっ軽い!着やすい!」「かわいい〜〜!」と思わず声が出てしまうだけじゃない。

素晴らしい縫製先さまとのご縁に加え、少々困った事があっても笑って解決!なKさんパワーも多めに盛り込まれる形となりました。

こちら「カンナ柄_愛情」ロングスカートです。ストローハット×サンダルだとリゾート感いっぱいになりますね!(身長158cm)

一枚の服ができるまでにはたくさんの職人さんの技術が詰まっている事を改めて感じました。裁断にも縫製にもプレス(アイロン)ひとつとっても職人技。絶対真似できません。裏まで惚れ惚れ美しい仕上がりとなっています。

改めてありがとうございました!!

次回は、それぞれのディテールやこだわりポイントをご紹介しますね。後編もお楽しみください。では!(クリサワ )

ブログに戻る

コメントを残す

コメントは公開前に承認される必要があることにご注意ください。